長内教授のアメリカ便り #3「賃上げでレストランが消える日」
カリフォルニアやニューヨークでは繁盛する飲食店が繁盛してしまったが故に閉店に追い込まれているという状況が発生しています。
最低賃金の値上げの影響です。昨年、ハーバード大学の学食も賃上げを求めてストライキをした結果、かなりの高給が約束されましたが、今、アメリカでは人件費の高騰に伴う物価上昇がものすごいことになっています。現在、ニューヨークやカリフォルニアなどの州では最低賃金が10ドルになっていて、これをニューヨークは2018年までに15ドル、カリフォルニアは2022年までに15ドルに引き上げる計画です。他にも全米で14州が10~15ドルまで引き上げていくことになっています。
こうすると安価な商品を提供しながら人手を使う飲食店は苦しい状況に追い込まれています。すでにカリフォルニアの小規模チェーンのレストランに話を聞くと、人件費高騰によって人を減らさざるを得なくなったが、その分サービスの質が低下して顧客からは不満が出ているとのことです。「レストラン自体は繁盛していてお客様も満足してくれているが、これ以上店の規模が大きくなって人件費を増やしていくと、商品の価格に大きくコストを載せざるを得なくなるが、それも現実的には厳しい。考えられるのは人を増やしてから経営が苦しくなる前に、事業を断念して店をたたんだ方がいいという経営者が多くなるのではないか」とのことです。この先5年10年したらアメリカには人件費を気にする必要のない超高級店か、家族経営の屋台のような店に外食産業は大きく2極化するのかもしれません。
全国チェーンの店舗では高騰する人件費の対策を取り始めています。写真はマクドナルドの注文の機械です。スクリーンにメニューが表示され、購入したい商品をタップしてカードなどで決済をし、レシートと番号の立て札を取って座席で待っていると料理を届けてくれるというもの。店舗あたりの従業員を極限まで減らす試みだと思われます。対面販売ではなくなるので、スマイルも商品として購入しないともらえなくなりそうです。
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